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−全集未収録作品や親族の寄稿を収録した必読文献−
![]() 『尾崎翠フォーラム・in・ 鳥取2003 報告集』 |
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尾崎翠の文学的出発点を明らかにする、17歳当時の短文や和歌、紀行文、詩などをはじめ、全集未収録の新発掘作品を収めた『尾崎翠フォーラム・in・鳥取2003 報告集』が刊行されています。また、1979年発刊の創樹社版『尾崎翠全集』の月報で、身近な肉親の目で等身大の翠を印象深く書かれた、甥の小林喬樹さんが四半世紀ぶりに筆を執られ、113通にのぼる翠の手紙や葉書を再読した上で「伯母尾崎翠のこと」と題した回想を寄稿されています。今回の報告集は、研究者、愛読者に欠かせない必読文献です。 全集未収録作品は、大阪の研究者、石原深予さんが調査、発掘したもので、2001年の「第1回尾崎翠フォーラム・in・鳥取」で発表され、これまでは生地の岩美町・岩井温泉の《ゆかむりギャラリー/尾崎翠資料館》の展示でしか読めないものでした。それを今回、2003年の報告集に収録したもので、これによって正式な文献として公にされたことになります。(なお、この新資料については、本HPの「鳥取フォーラムで全集未収録の新資料発表」でも紹介していますので、参照してください) |
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| 生活を共にし、翠に愛された甥、小林喬樹さんによる回想は、思い入れ過剰になりがちな翠の実像を淡々と描き、全集の編者、稲垣真美氏(男)などが描く「生ける屍としての晩年」など噴飯モノであることがよく分かります。「創作活動をしていたことなど」おくびにも出さず、戦後の苦しい生活に追われながらも、三人の甥と姪を育て、ユーモアを楽しみながら暮らしたこと、「ものの考え方が科学的・合理的であり、人の考えないアイデアを思いつく人」だったこと、「世上の悪知恵などとも無縁の人で、カラクリ、策士などはひどく嫌い」だったこと、「少なくとも生活に気落ちしているとか、文学ができないことに落胆しているとかの気配は、私たち甥や姪には感じられ」なかったことなど、「サッパリしていて」「湿っぽさ」の全くない翠の人柄が伝わってきます。みどりその人を知る人が少なくなっている現在、実に貴重な証言です。 また、フォーラムで行われた講演、狩野啓子・久留米大学の「翠探求の旅」、活動写真弁士・澤登翠さんの「尾崎翠が愛した映画」も収録されています。そうなのです。今回のフォーラムでは、翠が愛してやまなかった映画「チャップリンの消防夫」と「プラーグの大学生」を、澤登翠さんの活弁で上映し、大好評を博したのでした。澤登さんが翠について語るのも珍しいのですが、実は「第七官界彷徨」を読んで以来の尾崎翠ファンであるとか。「映画漫想」を読み解きながら、そこで語られている映画や女優、男優について具体的に照らし合わせ、どこに翠の独創があるか縦横に論じているのは、まさに活動弁士の独壇場です。こういう現代の専門家から見ても屹立している映画論を70年以上前に書いた尾崎翠は、まさに未来的な映画批評家でもあったと言えましょう。 読み応えがあり、資料的価値の大きい03年の報告集ですが、お求めは下記にお申し込みください。 |
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尾崎翠フォーラムのHPもご覧下さい。 http://www.osaki-midori.gr.jp/ |
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−尾崎翠を復権させた學藝書林の幻の全集、新装版で甦る−
| 知る人ぞ知る幻の作家だった尾崎翠を、再び世に送り出した、60年代末の衝撃的な文学全集「現代文学の発見」。こちらもいまや「幻の全集」となりましたが、全16巻、別巻1が、版元の學藝書林から新装復刊されています。「第七官界彷徨」を収録した第6巻『黒いユーモア』も発行され、これまで図書館でもなかなか読めなかった記念碑的全集が身近に読めることになりました。 70年前後のカルチャー・シーンに大きなインパクトを与えたアバンギャルドな文学全集でしたが、こうした熱気の中から尾崎翠の復権が果たされたことを思うと感慨深いものがあります。しかし、内田百けん、石川淳、富士正晴、武田泰淳、平林彪吾、織田作之助、坂口安吾などの収録作品を読むと、今だって新しいことに驚きます。尾崎翠の「第七官界彷徨」が全然古くならないことを考えると、文学の価値とはこういうものかも知れません。 |
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![]() 『全集現代文学の発見』第6巻 |
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また、花田清輝の解説「白磁鳳首瓶(はくじほうしゅへい)」は、これを読むだけでも4千5百円(定価)を払う価値のある絶品のエッセイです。大笑いしながら、文章の向こうから尾崎翠のエッセンスが立ちのぼってくる、わたしたち尾崎翠ファンには手を合わせたくなるような花田の解説ぶりには、ほとほと感服以外ありません。 余談、でもないのですが、月報にはもちろん当時の飯沢匡×中田耕治対談が収録されたうえ、これに新しく佐木隆三と浜野佐知監督のエッセイが書き下ろされています。ここで浜野監督は、「第七官界彷徨」映画化を妨害しようとした全集編者、稲垣真美氏(男)の実名を挙げて、こっぴどく批判しています。文学業界では異例の掟破りと思われますが、映画監督だから許されたことなのかどうか、ともかく珍事には間違いありません。このエッセイは、旦々舎の下記のURLでも読むことができますので、物見高い方はぜひご覧下さい。 |
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http://www.h3.dion.ne.jp/~tantan-s/frmDetail.html |
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